腰痛外来
Low back pain
Low back pain
腰痛の全国規模の調査によると、「治療を受けるほどの腰痛」を感じたことがある人口は男性で54.1%、女性で51.1%に達しているとのことです(整形外科学会)。
軽度の腰痛も含めると、もっと数が増えるでしょう。全ての年齢層にわたって腰痛は頻度の高い病気です。
高齢者の慢性腰下肢痛の原因では腰部脊柱管狭窄症が最も多く、ほとんどの症例で急性の痛み(侵害受容性疼痛)と慢性の痛み(神経障害性疼痛)が混在しています。
急性の痛みであれば短期間の鎮痛薬の投与と安静で改善することが多いですが、神経障害性疼痛(神経そのものの病気による痛み)であれば、鎮痛薬を漫然と長期間にわたり使用しても改善することはありません。
腰部脊柱管狭窄症の初期症状としては、動くことによりそれらの症状が改善する腰痛と朝起きた時の腰が固まった感じが現れることが多く、疾病の進行とともに腰痛、殿部から大腿にかけての痛み、ふくらはぎの不快感、こむらかえし、下肢のしびれと痛みが出現してきます。運動障害は目立つ症状ではありませんが、多くは長時間の立位や歩行により出現し神経学的間欠的跛行となります。治療として保存的治療と外科的治療がありますが、基本的には保存的治療が一般的です。保存的治療は薬物療法と定期的な硬膜外ブロックや超音波治療などを行います。
腰痛の原因の1つとして、レントゲン写真やMRIでは診断できない、仙腸関節症があります。仙腸関節症では、腰痛と伴に、座ると痛みが強くなる、上向けに寝るのがつらい、股関節の部位に痛みがある。大腿部の外側に痛みがあるなどがあります。診察で仙腸関節が疑われたら、後仙腸靱帯ブロックを併用して薬物治療を行います。院長は仙腸関節痛(症)の多くの治療経験があり、後仙腸靱帯ブロックを中心に治療をしています。日本仙腸関節研究会のメンバーでもあり、もしも腰痛と股関節痛があり、座っていると痛みが強くなる、仰向けに痛みで寝ることができないという症状があれば、仙腸関節痛の可能性が高いので一度ご相談ください。
ペインクリニックでの高齢者の慢性痛に対する治療目的は除痛ではなく鎮痛により日常生活動作(ADL)を改善し、QOL(生活の質)を増加することです。「老化だから慢性痛は仕方がない」というような風潮が依然ありますが、加齢による慢性痛であってもADLを改善できる鎮痛は得ることができます。齢だから痛いのは仕方がないとの考えではなく、腰痛があれば一度ご相談ください。