神経障害性疼痛は「体性感覚系に対する損傷や疾患により直接的に引き起こされる痛み」と定義されています。
痛みでは痛覚伝導路(末梢神経-脊髄後角-脊髄視床路-視床感覚核群-視床皮質路-大脳皮質体性感覚野)のどこかに損傷が起こった時に発症し、末梢からの感覚入力が絶たれた後にその支配領域に激烈な自発痛および異常な誘発痛が発現します。神経障害性疼痛では神経支配領域に異常な感覚過敏が見られます。この痛みは日常生活ではあまり経験しないような特徴的な痛みです。自発痛としては、「灼けつくような(灼熱感)痛み」、「電撃性で刺すような痛み」、「ビリビリするような痛み」、「ズキズキする痛み」などと表現される。
また誘発痛としては、アロディニア(非侵害性刺激による痛み、例、ブラシで皮膚をこすると痛みを感じる)と疼痛過敏(通常痛みを感じる刺激によって誘発される感覚が通常よりも強くなる状態)が見られます。
神経障害性疼痛に対する治療は、侵害受容性疼痛(怪我による痛み)や心因性疼痛(精神的な原因による痛み)とは明確な違いがあるため鑑別診断が重要です。しかし、神経障害性疼痛は末梢性から中枢性までの多くの因子が関与し、かつ痛みは主観的感覚なので鑑別診断は難しいことが多いので、専門医の診断が必要です。神経障害性疼痛を含む慢性痛の治療は、エビデンスに基づいた薬理学治療が薦められています。当院では薬物治療をすることができます。
薬物治療にはエビデンスに基づいた西洋薬を中心に行い、必要に応じて漢方を併用します。